

新しい朗読ー読書の悦びをご一緒しましょう♪
物語の世界にすっと入り込んで、その世界を生きている気がしたーー。 そんな読書の瞬間を、誰しも一度は味わったことがあるのではないでしょうか。 虚構の作品世界を生きる面白さ・たのしさは、読書の大きな悦びです。 では、どうすれば意識的に「作品世界を生きる読書」ができるのでしょうか。 ご一緒したい『新しい朗読』は、徐々に語り手に近づいていく読書法です。私たちは、語り手に近づこうとするとき、すでに虚構の世界を生き始めています。 さあ、時間をかけて、ゆっくりと、語り手に近づいてまいりましょう。その過程を、存分に面白がりましょう。 読書の悦びを多くの方と共有したいーーその思いで、私は「朗読家」として活動しています。 ■朗読家とは、表現者ではなく、体験する読者である 「朗読家」って、耳慣れない言葉かもしれません。一般には「声で伝える人」「演じる人」と思われがちです。しかし、朗読家本人は、「読み上げる」とか「表現する」とかいう意識を持っていないと思います。「声を出す」という意識すら持っていないのではないでしょうか。 朗読家というのは、【語り手の体験と同じ体験を試み


『100万回生きたねこ』ー新しい朗読という読書法の実践例です♪
虚構の作品世界を立ち上げるのは、語り手の言葉ーー語り手の体験とともに生まれる特別な言葉です。だからこそ、私たち読者は、その言葉と呼応する「体験」を推察できるのですね。 今回は、佐野洋子さん作『100万回生きたねこ』の一文[どんなめすねこも、ねこのおよめさんになりたがりました。]を取り上げて、語り手の体験に近づいていくプロセスーー『新しい朗読』のステップ1とステップ2を実践してみます。 語り手をより意識しやすいように、百(ひゃく)さんと名付けて、さあ、はじめましょう。読み終わると、「語り手のくつを履くって…こういうことか」と頷けるかもしれません(^^♪ ■「どんなめすねこも」という言葉にぴったりの体験ってどんなだろう? まずはステップ1(『新しい朗読ー語り手の体験を生きる読書法』p34を参照して)に取り組もう。 〈身体〉ねことめすねこたちがいる場所にいるんだろうな。 〈五感〉目で見てるんだろうな。 〈脳〉「どんなめすねこ」という大きな認知回路が使われたのかな… あのめすねこ、このめすねこ、あそこのめすねこ、こちらのめすねこ…と、何匹ものめすねこを、


新しい朗読ー朗読家って?
名古屋西高校での授業の際、「朗読家って初めて知りました!」という生徒の声に、私も思わず「たしかに!」と頷きました。 「朗読家」という仕事、日常であまり耳にしないかもしれませんね。今日は、あらためて「朗読家とは何か」を考えてみたいと思います。 ■ アナウンサー、俳優や声優、朗読家の比較 アナウンサー :伝達者/アナウンス原稿を読み上げ、聞き手に「わかりやすく伝える」ことを目指す 俳優や声優 :表現者/台本の台詞を表現し、観客に「作品を魅力的に届ける」ことを目指す ーーーーーーーーーーーーーーー 朗読家 :体験する読者/文学作品の語り手を追体験し、「作品世界を生きる」ことを目指す 朗読家は、聞き手や観客に届けるために表現するのではなく、「語り手という他者の体験」を「自分の体験」として、ただ生きようとします。つまり、言葉が生まれる瞬間を生きるのです。したがって朗読家の音声は、「表現」ではなく、体験とともに自然に生まれる「表出」と捉えましょう。 アナウンサー、俳優・声優、朗読家。いずれも言葉と向き合う点では同じかもしれません。けれども、扱う言葉が異なるの


